訪問看護師の仕事内容 ― 1回の訪問で何をしているのか

訪問看護師の仕事は「ご自宅で看護をすること」とひとことで言えますが、実際にどんな順番で何をしているのかは、病棟で働いていると見えにくいものです。この記事では、1回の訪問の流れに沿って仕事の中身を整理します。
訪問看護は「指示書」から始まる
訪問看護は、主治医が出す訪問看護指示書にもとづいて行います。指示書には病名や病状、必要な処置、訪問の期間などが書かれていて、看護師はこれをもとに看護計画を立てます。
利用者さんが要介護・要支援の認定を受けている場合は、原則として介護保険で訪問します。一方で、末期のがんや厚生労働大臣が定める疾病 (いわゆる難病の一部など) の方、病状が急に悪くなって主治医が特別な指示を出した期間などは、医療保険での訪問になります。どちらの保険かで、訪問できる回数や時間の決まりが変わります。
訪問の前にすること
- 前回の記録と申し送りを読み、今日見るべき点を確かめる
- 必要な物品 (血圧計、パルスオキシメーター、処置の物品など) をそろえる
- 訪問の順番と移動の時間を確かめる
訪問先は病室ではなく、利用者さんの生活の場です。駐車できる場所、玄関の開け方、ペットの有無など、その家ならではの情報も記録に残しておきます。
訪問中にすること
1回の訪問は、30分から1時間ほどのことが多いです。そのあいだに、おおむね次のことを行います。
- 観察: 血圧・脈拍・体温・呼吸などのバイタルサイン、表情や話し方、食事・排泄・睡眠の様子
- ケア: 清拭・入浴の介助、褥瘡の予防と処置、排泄のケアなど
- 医療処置: 点滴、カテーテルの管理、在宅酸素や人工呼吸器の管理など、指示書にもとづく処置
- 服薬の確認: 飲み忘れや残薬の確認、副作用の観察
- ご家族への支援: 介護の方法の助言、不安や疲れの相談
病棟とちがうのは、検査の数字やモニターがすぐそばにないことです。そのぶん、部屋の様子、冷蔵庫の中身、ご家族の表情など、暮らしのなかの小さな変化が大切な情報になります。
訪問の後にすること
事務所や車の中で記録を書き、必要に応じて主治医やケアマネジャーに報告します。月に一度は、主治医に訪問看護報告書を、計画を変えるときは訪問看護計画書を出します。最近はタブレットで記録するステーションが増えています。
一緒に働く職種
訪問看護ステーションには、看護師のほかに理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が所属していることがあります。外では主治医、ケアマネジャー、ヘルパー、薬剤師、福祉用具の事業者などと連絡を取り合います。退院前のカンファレンスやサービス担当者会議に出ることもあります。
ひとりで訪問しても、ひとりで抱え込む仕事ではありません。判断に迷ったときにすぐ相談できる体制があるかどうかは、職場を選ぶときの大事なポイントです。
まとめ
- 訪問看護は主治医の指示書にもとづき、介護保険か医療保険で行う
- 1回の訪問は観察・ケア・医療処置・服薬確認・ご家族の支援が中心
- 暮らしの中の変化に気づく力と、多職種との連携が大切
実際の1日の流れは、仕事内容と1日の流れのページで紹介しています。


